ゾンビ革命 JUAN OF THE DEAD
監督・脚本:アレハンドロ・ブルゲス
出演:アレクシス・ディアス・デ・ビジェガス、ホルヘ・モリーナ、アンドレア・ドゥーロ、アンドロス・ペルゴリーア、イャス・ビラー、エリエセル・ラミレス
公開:2012年
時間:96分
●ストーリー
40代のフアンは、人生の大半をキューバという国で文字通り何もせずに過ごしてきた。
その生き方を守るためなら、どんな犠牲も厭わない。いつも一緒にいる友人のラサロは、フアンに負けず劣らずの怠け者であり、彼の2倍バカな男だ。そんなフアンが唯一、気にかけている存在が美しく成長した娘のカミーラ。しかし当のカミーラは、トラブルを起こすことにしか能のない父親とはできる限り距離を置きたい様子。
そんな折、突如として町に奇妙な出来事が起こり 始める。人々が凶暴になり互いを襲い出したのだ。当初、フアンは新たな革命が起こったのだと考える。国営メディアも、米国より資金援助を受けた反体制派キューバ人による単発的な事件と報道。
しかし、やがてフアンとその仲間たちは、犯人が普通の人間ではなく、簡単に殺せるような相手ではないことに気づいていく。その正体は、吸血鬼でもなければ悪霊でもない。
もちろん反体制派など論外だ。一度でも噛まれた者は同じく凶暴な殺人鬼へと化し、息の根を止めるには脳に致命傷を与えるしかない。
この状況を乗り切るため、フアンが考え出した最善策は金儲けだった。
キャッチコピーは“愛する人、殺します。フアン殺人代行社”。チームのメンバーはラサロにその息子のブラディ、そしてカミーラ(祖母に殺されかけそうなところをフアンに助け出された彼女は、チームに加わるより他に選択肢がなかった)だ。
彼らの業務は感染者を排除し人々を助けること… しかもリーズナブルな料金で。
しかし血に飢えた敵は大増殖し、手に負えない状況に。住民たちは途方に暮れる。
もはや残された者が助かる道は1つ。海に脱出し、殺戮の限りが繰り広げられる島から離れることだ。ついにフアンは、一生をかけてかたくなに避け続けてきた行動を選択せざるをえなくなる。それは自らの(ヒーローとしての?)責任を自覚し、希望を掲げて愛する者を導くこと。そして血肉を貪るゾンビの島となってしまったハバナの混乱から、彼らを安全に救い出すことだ。
●感想
キューバ初のゾンビコメディ映画。
この映画、ゾンビーっていうのは作中登場するジョーンズ神父が一言説明するだけで、基本的に「反体制派」と呼ばれるんですよね。
原因は従来のゾンビ映画よろしく「ウィルス」なんですけど、そこも始めにちょろっと触れるだけで、抗体とかそういうの全く出てこない。
「噛まれたら感染する」のもまぁなんとなく把握する程度。
ただ、この映画「コメディ」という枠を上手く使って倒すんですよね。
吸血鬼よろしく、ニンニクを口にツッコむ。
心臓を杭で貫く。
銀は、無いんで十字架でめちゃくちゃに祈る。
祈る間にイライラしてきて、
頭 を 十 字 架 で ぶ ん 殴 る 。
ただ、やっぱり「自我があるんだか無いんだか」解らない動きを見せるゾンビーはコメディ的で、ゾンビーとしては荒いんだろうなって思いましたけど。
で、なんで「反体制派」って言われるかと言いますと、キューバが社会主義国家だから。
つまり、ゾンビーはアメリカの差し金。
バイオハザードとかは軍事兵器として儲けるためが最初で、安価な労働者という点でも、資本主義国家から生まれたものだったりするので、ゾンビーは資本主義の尖兵と言えるのかもしれない。
その「資本主義」に食われ、侵食されるキューバ。
政治的思想を皮肉ってるようにも見えるけど、それを楽しんで見れるのは良いことだね。
資本主義、アメリカ、それって強大なもので、キューバという国だけでは困難かもしれない。それでも立ち向かう強さはぶれないね。
映画としてはちまちま荒いところもありました。エキストラのゾンビーとか。ちょっとした小道具。
でも、全くもって目を閉じれる。
それよりも「ゾンビ狩り」を生存するためではなく、儲けるために考えるのは上手かったし、所々のジョークも良い。
ホルヘ演じる、親友ラサロの「うっかり」は最初から最後まで「救いの手」であり「トラブルの種」その両方を生かし切っていたと思うし、キャラクターとしてただの役ただズではない、愛されるキャラクターで何故フアンと親友関係にあるのかまで解る描かれ方をしてた。
これは、監督がまずフアンとラサロ、それを演じたアレクシスとホルヘありきで描いたからなんだろう。
社会主義の中「何もしない」で生きてきた二人。その二人の「ダメなところ」と「頼れるところ」をしっかり描く。
映画の中にはパートナーと「何故親しいのか」が実は分からないものがあったりする。
そりゃあ「気が合う」とか「愛し合う」とか「長年付き添っている」からだったりするけど「どんなところが良くて付き添ってるのか」それがラサロは描かれてる。
フアンも、妻とは別れていても、人間としての良さがしっかり描かれてる。
だから、フアンとラサロは安心できる。信頼出来る。
冒頭、ラサロが島から逃げ出すシーン、フアンが「お前がいないとダメなんだ」と連れ戻すシーン。
なぜ「ラサロがいないとダメなのか」それが作中で解る。
それがこの映画の良いところだと思う。
そして、各キャラクターが「魅せて」くれる。
フアンの娘であるカミーラの初戦闘シーン、自分のお気に入りキャラだったオネエのチナによるパチンコ攻撃。
その一つ一つがちゃんとピックアップされて、且つ見栄えがある。
なかでも、ラサロの息子であるカリフォルニアは唯一のイケメンの青年のため、脚力や運動神経を生かした見せ場がちらちらあり、若さゆえの呑み込みの良さ描かれてる。
「切り札」と言えるような立場でもあったように思う。
お決まりのごとく、カミーラと良い仲になっちゃうし、美味しすぎです。彼。
正直、このカルフォルニア役のアンドロスさんの別の作品も観たいと強く思った。
しかしあれだよね。
感想だって言ってるから良いんだけど、レビューっぽさがが壊滅的にないよね。俺。
●余談
今回はハロウィンということもあり、ゾンビーパフォーマーであるゾンビーナさん方が来て、無料でゾンビメイクしてくれるというイベントもありました。
正直、これがあったからこのゾンビ革命には必ず来ようと思えたレベル。
メイク時間も短かったし、ほかの方々のメイクもあったので、ちょっと個人的に物足りないメイクになってしまったけども、毎月最終日曜日にゾンビバーをやっていることもあり、そこでメイクの講座もしてもらえるとのことで、行けたらちょくちょく行こうと思っております。
ゾンビーナさんページに今回の写真がアップされるそうなのでどっかに俺も居ます。
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