「ザ・ウォード/監禁病棟」を観てきた。
ザ・ウォード/監禁病棟。原題The Ward
監督:ジョン・カーペンター
脚本:マイケル・ラスムッセン、ショーン・ラスムッセン
キャスト:アンバー・ハード、メイミーガマー、ダニエル・パナベイカー、ローラ=リー、リンジー・フォンセカ、ミカ・ブレーム、ジャレッド・ハレス。
配給:ショウゲート
時間:89分
レイティング:R15+
1966年。20歳のクリステン(アンバー・ハード)は身に覚え のない放火の罪で精神病棟に送られる。
同年代の少女ばかりを収容する奥の病棟に隔離され、そこでは一人ずつに部屋があてがわれた。
クリステンは、初日の夜 から見えない人の気配を感じ、いわれのない不安を抱く。
同じような境遇の少女は、ボロボロのぬいぐるみを抱くゾーイ(ローラ・リー)、華やかなサラ(ダニ エル・パナベイカー)、絵を描くのが好きなアイリス(リンジー・フォンセカ)、歌を得意とするエミリー(メイミー・ガマー)の4人。
自分のことを狂人と認めている彼女たちとは違うと自負するクリステンであったが、担当医ストリンガー(ジャレッド・ハリス)と面接する中、自分の仕業とされる放火を見たことと 自分の名前以外、一切の記憶を失っていることに気づく。さらにその夜、廊下を歩く奇妙な女性の姿を目撃し、事態は新たな展開を迎えるのだった……。
映画館で映画を見始めて二本目。
こういう映画を第一弾で見たかったなぁ。と思っていたり。いなかったり。
キャッチコピーは「逃げることは許されない、本当の恐怖を知るまでは―」
DVDで観た映画ではあるけど「セッション9」でこの映画とまったく同じ殺人シーンがあったのが個人的に感動。
どっちも精神外科と関係がある映画で、現実と妄想。殺人犯と幽霊。という違いはあるけど本当に同じ映画ではないだろうか。
幽霊というのは、目には見えないし、実体がない。だから自殺においやったり、超常現象で人を殺していく。「リング」だとか「呪怨」だとか。
これも幽霊が人を殺すわけだけど、ロボトミーや電気ショックと医療系の器具や治療法で殺す。幽霊にしては物理的。
少女たちがお互いをお互いに罵倒して、すぐに突っかかるってのが、なんか女の子だよね!
いや、別に女の子みんながそうじゃないけど。男にだってそういう奴いっぱいいるけど。
ストーリーというか、作品のネタは「精神病院」とか、登場人物のちょっとした言動で「ん?」と思える、伏線としては分かりやすい物だったんじゃあないかなぁ、と。それで面白さが半減したとか、そういうのは自分はなかった。むしろ、わくわくしたというかのめりこめた。
クリステン役のアンバー・ハードが、二十歳の少女という割はすごくしっかり者というか、作中のほかの少女も言ってるけど、強い人。うさぎのぬいぐるみを抱える少女ゾーイと比べたら「女の子同士」じゃなく「母と娘」ってくらい強い。子供を守る母の強さがある人物だった。
個人的にこの映画ですごいと思ったのは、少女たちじゃなく、少女たちの担当医。ジャレッド・ハリス演じるストリンガー博士。
ほかの看護師たちは、アンバーたちに対して結構威圧的だったりするのだけど、ストリンガー博士は何かを知っている節は初めから思い切り見せっぱなしで、でも言わない。自分で頑張れ。そういって突き放す。
クリステンがほかの少女たちに対して「母の強さ」を持つなら、ストリンガー博士は「父の強さ」を持った人物。
守るのがクリステンなら成長させるのがストリンガー。この成長は精神病治療を通じても思う。
患者の心的外傷を治すためには患者がトラウマと向き合う必要があると思うし、それは成長とも言える。
ただ、それは「手伝いはしてやる。でも最低限だけだ」というもの、土台は用意する。精神安定剤だったり、治療や面談だったり、最低限の部分はする。
でも、答えは絶対に教えない。
勉強している子供に。参考書は渡すけど、解き方を教えない。公式を教えるけど、使い方は教えない。
それじゃあ、子供は先に進めない。本当は与えるだけじゃなく、使い方を教えないといけない。分からなかったらそれはないのと同じで。
使い方を知ったら、応用をしていく。それが子供のする本領のはずで。
ストリンガーはそこを間違ってしまって、クリステンはそれで苦しんで。クリステンの両親はストリンガーに頼り切ってしまっている。
ザ・ウォードは大人と子供の物語。
でもそこには愛情というものがなくて、大人は子供を理解しているつもりでしかなくて、子供は何も分からないまま成長しきれない。
キャッチコピーにある通り、クリステンに逃げることは許されない。
でも、真実を知っても逃げられない。本当の恐怖を知ったところで、戦うしか選択肢はない。
理解し合えない、大人と子供の溝。
自分を乗り越えることがどれだけ難しいことか。
DVD購入するつもりです。
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